リクルートスーツの群れは全員ナイフを隠し持っている。あれを放置してはいけない。

おそい夕暮れの春の駅。

その あまりの 悪臭に

その 熱く ぬめぬめとした コールタールの輝きに ますますの耐え難い思いを抱いてしまうのだ・・・・・

ああ  どうしてあんなに女性のリクルートスーツ姿というのは

醜悪で不愉快きわまりないのだろう・・・

リクルートスーツ姿というのは嘘と偽善で固められて、

御社に入りたいかもしれないというクジャクの自己主張であり、

それでいて自由な狩人であり

若さと可能性に満ちた美しい若葉であり

選び放題のカフェテリアであり、

つまみ食いをしにきたミツバチであり、

いやだわ、わたしたちだって人間なんです、ストレスだってあるし、ウツにもなるわ、選択の余地なんてないのですよ、誰も好き好んでこんなスーツや靴を履いているわけじゃないのです、ストレスで倒れそう必死なんです・ブンブンブン・・・

だんだんかわいそうになる、あの服が、あの服・・・わたしはスーツそのものをけなしたいのじゃない、むしろ、リクルートスーツだってもっと主体的に選択され永続的に愛されるべきなのです。一生愛してあげてほしいのですリクルートスーツを。

だれが一生リクルートスーツを着続けるというのだろう。

着続けてあげてください、いちど、それを着たなら。

今日も・・・それは下丸子という駅だったが、リクルートスーツの男女の群れが おもに改札付近のドアから乗ってきた。とくに女性が多かった、女性は身体のあらゆる部分を黒く塗っていた、髪の毛を黒く塗り、靴も黒く塗りつぶし、性器も黒く塗りつぶし、のどちんこも黒く塗りつぶす、化粧はこゆくてお上手だ、そして電車に乗り込むや否やリクルートスーツを着た女性たちはいっせいに黒いかばんからペニスを取り出して電源を入れた、多摩川線に乗ったリクルートスーツの女性たちがいっせいに握るよ、ああ、ペニス、ペニス、恋しかったよペニス・ペニス、と、それをかしゃっと開いて、「ぃってきたょ♪」という文字などをペニスに刻み、今日ひとときのやすらぎを得る、がんばったよね疲れたよね、自分にごほうび。

電車内にはそんなふうなどれも似たような黒い靴が並んでいた、そのズラリを見て、みんな、みんな、ほんとは同じ生物なのではないか、下丸子にいたリクルートスーツの群れは、実は、一体のムカデなのではないだろうか、と考えた。よく思うのです、巨大な生物がきわめて巧妙にわたしたちの身体に入り込んでいるのではないかしらと。わたしはちゃんとそういうものに感づき、除外できるでしょうか。もう本当は、はやく楽になりたいのかもしれません。